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小学校の金融教育とは?実施されるようになった背景や家庭で取り組めることも紹介!

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小学校の金融教育とは?実施されるようになった背景や家庭で取り組めることも紹介!

お金に関する教育が小学校でもいよいよ開始されました。小学校で行われている金融教育にはどのような目的があるのでしょうか?今回は、金融教育が行われるようになった背景や、家庭でも取り組めることを紹介していきます。

もくじ

    学校で行われている金融教育とは

    小学校教室

    金融広報中央委員会によると、金融教育は、
    ”お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会の在り方について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に判断し行動できる態度を養う教育である。”
    引用:1.金融教育のねらいと基本的性格

    とされています。
    つまり、金融教育とは、お金を通じて自分の生活や生き方、社会との関わり方を考えていく教育です。

    このような金融教育が学校でも行われるようになったのは、文部科学省が定めている「学習指導要領」が改訂されたことがきっかけです。学習指導要領は、学校の授業の基本になるものです。その改訂が2018年に行われ、小学校では2020年度から金融教育が開始されました。2018年の改訂では、変化の激しい時代でも、自ら考え、行動し、自分が思い描く未来を手に入れて欲しいという願いが込められています。また、中学校は2021年度から、高校は2022年度から順次金融教育がスタートしています。

    金融教育というと、投資などお金を増やすための方法を思い浮かべるかもしれませんが、学校で行われる内容は、そうではありません。お金の大切さや価値、役割、使い方など、基本的なことを子どもたちに伝えていきます

    また、金融教育は「金融」という新しい教科が作られたのではなく、「社会」や「公民」「技術・家庭科」などすでにある科目に織り交ぜられています。子どもたちは、お金が私たちの生活の様々な場面で関係していることを体感しながら学んでいくのです。

    金融教育が行われるようになった背景

    貯金箱への行列

    金融教育が行われるようになった背景は、様々あると考えられますが、今回は以下の3つを紹介します。

    • 成人年齢の引き下げ
    • 金融に関する知識や判断力が求められる社会の変化
    • 消費者トラブルの増加

    成人年齢の引き下げ

    2022年4月から成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成人とは、

    • 1人で契約ができるようになる年齢
    • 父母の親権に属さなくなる年齢

    の2つの意味があります。
    成人年齢が引き下げられたことで、親の同意なしにクレジットカードが作れたり、金額の大きな買い物をするときにローンを組めたりするのです。これらの行動にはお金が関わってきます。子どもたちがこれから大きなトラブルに巻き込まれないために、学校での教育を始める後押しになったと考えられます。

    金融に関する知識や判断力が求められる社会の変化

    近年、インターネットの普及により、キャッシュレス決済やインターネットバンキング(インターネットを利用した銀行などの金融取引のサービス)が私たちの生活でも身近なものとなりました。また、積立NISAなどの制度も整えられ、海外と関わりのある金融商品を購入しやすくなり、金融に関する知識や判断力が求められる場面が増えています。こうしたお金に関する様々な社会の変化に対応し、主体的に経済活動に参加できるよう、子どもたちに対して早い段階から金融教育を行うことが重要と考えられているのです。

    消費者トラブルの増加

    東京都消費生活総合センターには、小学生からのインターネットのゲームに関する相談件数が増加しています。

    グラフ消費生活総合センター

    東京都消費生活総合センターに寄せられた小学生からの相談件数

    平成29年度小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

    令和4年度小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要より編集部作成)

    2017年と2022年の内訳を見てみると、インターネットのゲームに関する相談件数が増加しています。アプリ内やオンラインゲームへの課金で数十万円の請求が来たという相談が多く寄せられています。また、そのほかには、初回のみ安く購入できる食品や化粧品の定期購入に関する相談や、ワンクリック詐欺などが多いようです。

    スマートフォンが身近な存在になり、クレジットカードを登録していれば、ワンタッチでゲームへの課金や商品の購入ができるため、子どもたちがこうしたトラブルに巻き込まれやすくなっています。お金の使い方を学び、判断力を鍛え、消費者被害を防ぐためにも金融教育が必要なのです。

    小学校で行われる金融教育の内容

    お金を考える女性

    小学校では具体的には、以下のような教育が行われています。

    • お金の役割と価値:お金の役割や価値について理解し、感謝の気持ちを持てるようになる。
    • 家計のやりくり:おこづかい帳をつけたり、家族の買い物について話し合ったりすることで、家計のやりくりについて理解を深める。
    • 貯蓄と計画:目標達成のために必要な貯蓄額を計算し、計画的に貯蓄できるようになる。
    • 金融商品:銀行や保険などの金融商品について理解し、適切な使い方を学ぶ。
    • 消費者トラブル:悪徳商法やマルチ商法、投資詐欺などの消費者トラブルについて理解し、被害を防ぐための知識を身につける。


    これらの力は、将来の生活設計や資産形成、老後の生活などにおいて、非常に重要です。お金に困らないようにするには、自立した生活と家計のやりくりが必要です。子どものやりたいことの中には、お金の力を借りた方が、簡単に叶えられることもあります。子どもが思い描く夢をすでに叶えた人に会いに行ったり、体験プログラムなどを通してやってみたいことを経験したりすることは、お金があると叶いやすくなります。

    子どもたちには、大きなトラブルに巻き込まれずに、お金に困ることなく過ごして欲しいと思いますよね。金融商品や消費者トラブルに関する知識は、子どもを守ってくれるものでもあります。

    また、お金の役割を理解することで自身が社会に与える影響を考え、社会の一員としての責任感も育むことができます。お金はありがとうの対価です。自分がどのように使うのか、どのように稼ぐのかを考えることで、社会に貢献する方法も考えることができます。

    金融教育の目的は、将来社会を担う子どもたちが、お金に関する基本的な知識や考え方を身につけ、主体的に経済活動に参加できるようになることなのです。

    家庭で取り組める金融教育とは?

    娘に勉強を教える父親

    金融教育は子どもたちの未来に大きく関係する大切なものです。小学校での金融教育は、知識をつけ、クラスメイトと話をすることで理解が深まったり、人とお金の話をする抵抗感を軽減したりしてくれます。しかし、お金は使って初めてその力を発揮してくれるものであるため、実践も大切です。その知識を実際の生活で使っていくことが家庭での金融教育ともいえます。

    家庭でできることとしては、

    • 学校で習ったことを復習する
    • 習ったことをもとに実践する(お小遣い帳や貯金の習慣化)
    • 投資について学びを深める

    などがあります。

    子どもにお金の授業では何をやっているのか、自分の生活に活かせそうなことはあったかを聞いてみることは家庭でできる金融教育の一つです。子どもから提案されたもので、取り入れられそうなものがあれば、おうちで実践してみるとよいでしょう。復習になるだけでなく、自分の提案が認められたことで、自己肯定感も高めてあげることができます。

    また、お小遣い帳をつけることや貯金を習慣化するなど、お金に関する実践も家庭でできることです。実際にお金に触れて、予算を組んだり、計算したりして、学べることは多くあります。お小遣いをどのように使っていくかを考えたり、買い物の際にお金をどのように使うか考えたりしてみるといいですね。
    こちらの記事では、お小遣いのルールの決め方について紹介しています。また、お金を使う力についても解説しているので、参考にしてみてください。
    【必見!お金の専門家が解説!】お小遣いのルール決めについて
    お使い方を知らなきゃ破産する?!子どもに伝えたい「お金を使う力」

    小学生のうちから投資についての知識を深めることも大切です。投資もいきなり実践するのではなく、学びから始めてみましょう。投資とうまく付き合っていくためには、投資と投機の違い、複利についてなど様々な知識をつけておくことや、ある程度の期間生活に困らない程度の貯金をしておくことが必要です。それらを身につけたり、準備したりするには、時間もかかります。そのためにも、少しずつ投資についても触れられるようにしていきましょう。こちらの記事では、投資を使ったお金を増やす力の鍛え方について解説しています。
    投資を活用してお金を増やす力を鍛える!お小遣いを使った投資の練習方法も紹介!

    金融教育は学校と家庭で取り組もう 

    お金は使って初めてその効果を最大限に発揮できるものです。学校での金融教育が始まりましたが、まだまだ始まったばかりであり、実践をしていくのは難しいところでもあります。そこを補うのが家庭での金融教育です。学校でお金に関するのハードルを下げ、家庭では実践を通して、子どもたちのお金に関する力を伸ばすためにサポートしてあげられるといいですね。

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